<ネタバレ>『さよなら渓谷』は人間を丁寧に描いたいい映画だった。
真木よう子が凄く良かった。
監督 大森立嗣
脚本 大森立嗣、高田亮
原作 吉田修一『さよなら渓谷』
茹だるような夏の日、狭いアパートの一室でもつれあう男女のカットから始まる。
しょっぱなから真木よう子の体に見入ってしまう。綺麗過ぎ。
MOZUというドラマにしばらくハマっていて瞳に綺麗さとスッとした存在感で最近お気に入りの女優さん。『そして父になる』でも好演してたね。
幼児殺害事件の容疑者の隣人として登場するけどその事件はただのきっかけでむしろ真木よう子と大西信満との狂った愛の形の物語。
とにかく作りが丁寧、事件加害者と被害者としての見方ではなく、それぞれの人間を見ろ、という台詞にもある通り、しっかり人間を丁寧に描く。
台詞は多くなく、喋ってもかっこ悪い、ぎこちない、人間の関係性を浮き出す。
真木よう子が凄くむずかしい役どころなのに、スムースに演じていて(そう見せていて)凄いな、と。ただいい女すぎて、ストーリーよりも女優真木よう子に惚れそうになってなんどか無理やり物語の世界に引き戻す必要があった。(褒めすぎ)
スポーツ一途にやってきたのにその道を外れて加害者になった大西信満のやるせなさ、不器用さ。同じくスポーツ人生を怪我で挫折し週刊誌の記者になった大森南朋。
序盤に見せる大森南朋のたるんだ体の迫力がこの映画の本気さを象徴している。
綺麗なところを描いても人間は見えない。汗臭い、泥臭い、カッコ悪い、のが人間だもの(みつを)
冗談はさておき。演出が絶妙。大西信満演じる「夫」が下手な役者にしか見えない、シロウトっぽさとは違う生々しさ。大森南朋の空気の読めなさとカッコ悪さ。真木よう子の生と静の美しさ。激しい感情とのギャップに苦しくなる
なんでもしてくれるんでしょ?じゃあ私より不幸になってよ
それでも愛なんですかね? ひたすらに観客に問いかける。
私達は、幸せになろうと思って一緒にいるんじゃないって
もう一度戻るなら同じ人生をやりなおしたい?
ラストが苦しすぎて、呆然とした。
エンドロールが真木よう子の歌なんだけど、いつもだったら本業じゃない女優に
歌わせんな!ってぷんすかするところなんですけど、妙にマッチしててこれも
ありだなって思いました。
真木よう子べた褒めしすぎて自分でも気持ちわるいぐらいです。
暑い夏の日に。クーラー止めて見るがオススメの映画です。素晴らしかった。
原作も読んで見たい。
これも見てみたい。